公開日 2026.09.27 更新日 2026.09.27

リファレンスチェックは違法?違法となりうる5つのケースと適法な6手順

「リファレンスチェックって、そもそも違法にならないのか不安」 「本人の同意なしで前職に問い合わせても大丈夫なのか知りたい」

このような悩みを抱える採用担当者の方は多いのではないでしょうか。

リファレンスチェックは実施自体が違法な行為ではありませんが、進め方を誤ると個人情報保護法・職業安定法・労働契約法に抵触するリスクがあります。

本記事では、違法リスクとなりうる具体的な5つのケース、根拠となる法令と条文、内定取消の可否、適法に実施するための6ステップを、公的情報と公表判例をもとに整理します。

目次

リファレンスチェックは違法?違法となりうる5つのケース

はじめに結論をお伝えします。

リファレンスチェックを禁止する法律は日本に存在せず、実施行為そのものは適法です。

ただし、違法性の分岐点は「本人の同意」「収集する情報の範囲」「取得手段」の3点にあり、これを外すと個人情報保護法違反や不法行為責任に発展するおそれがあります。

以下では、違法となりうる代表的な5つのケースを見ていきましょう。

①本人の同意なしで前職・関係者へ照会する

本人の同意を得ずに前職や関係者へ照会する行為は、個人情報保護法上の「偽りその他不正の手段による取得」(第20条第1項)や、利用目的の範囲外の取扱いに該当するおそれがあります。

職業安定法第5条の5も「業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして収集する」ことを求めており、無断照会はその趣旨に反します。

あわせて、在職中の候補者に無断で照会すると、転職活動が現職に露見して実害が生じ、プライバシー侵害を理由とする損害賠償請求(民法第709条)に発展しうる点、発覚した時点で選考辞退や採用ブランドの毀損につながる点にも注意が必要です。

②採用の適性・能力と無関係な情報を収集する

人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地、思想信条、労働組合への加入状況といった情報は、厚生労働省の指針(平成11年労働省告示第141号)で原則収集禁止とされています。

さらに病歴や犯罪経歴は個人情報保護法の「要配慮個人情報」にあたり、取得には原則として本人の事前同意が必要です。

質問項目に迷った場合は、「採用要件のどの項目を検証するための質問か」を言語化できるかどうかで線引きするとよいでしょう。

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③取得した回答内容を目的外利用・第三者に共有する

推薦者から得た評価を、当初示した利用目的(採用選考の判断)を超えて社内で共有したり、グループ会社や取引先に渡したりする行為は、個人情報保護法の利用目的による制限(第18条)や第三者提供の制限(第27条)に抵触するおそれがあります。

閲覧権限を選考関係者に限定し、共有範囲を運用ルールとして定めておく必要があります。

なお、回答する前職企業側も第27条(第三者提供の制限)の規制を受ける立場にあるため、回答を拒否されることは法令遵守の観点からむしろ自然な対応だといえます。

④同意を拒否した候補者を不利益に扱う・同意を強要する

「同意しなければ採用しない」という条件提示は、任意性を欠く同意として無効と評価されるおそれがあり、強要と受け取られればトラブルの火種になりかねません。

平成11年労働省告示第141号 第五の一(六)ロも、業務の目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を収集・保管・使用することへの同意を、労働者の募集の条件としてはならないと定めています。

同意はあくまで任意であることを説明したうえで取得すべきです。

拒否された場合に備えて、面接での深掘りや適性検査の併用といった代替手段をあらかじめ用意しておく運用をおすすめします。

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⑤厚労省が「配慮すべき事項」とする身元調査型の運用になっている

厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」は、14項目のうち「採用選考の方法」の筆頭に「身元調査などの実施」を挙げています。

本人の適性・能力と関係のない生活環境・家庭環境・交友関係を調べる運用は、本人の同意があっても就職差別につながるおそれがあるとされています。

リファレンスチェックが「職務上の実績・行動の確認」にとどまっているか、「身辺調査」にまで踏み込んでいるかが分岐点であり、質問項目の設計段階で線引きしておくべきポイントです。

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根拠となる法令|個人情報保護法と職業安定法5条の5が定めるルール

リファレンスチェックに関わる法律は、大きく3層構造で整理できます。

個人情報保護法は取得・利用・第三者提供のルールを、職業安定法は求職者情報の収集制限(第5条の5)を、労働契約法は内定取消の制限(第16条)を、それぞれ定めています。

どの局面でどの法律が効いてくるのかを押さえておきましょう。

個人情報保護法が課す義務

採用選考のためにリファレンスチェックを行う旨を利用目的として特定し(第17条)、本人に通知または公表する必要があります(第21条)。

取得後は、特定した利用目的の範囲を超えて取り扱うことはできません(第18条)。

あわせて第20条第1項が定める「偽りその他不正の手段」による取得の禁止にも注意が必要で、身分や目的を偽って前職に接触する行為は典型的なNG例といえます。

要配慮個人情報とは

個人情報保護法第2条第3項は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪被害の事実などを「要配慮個人情報」と定めています。

第20条第2項により、これらの取得には原則として本人の事前同意が必要です。

推薦者が自発的に語った場合であっても、その情報を記録・利用してよいかどうかは慎重に判断する必要がある点も押さえておきましょう。

職業安定法第5条の5と告示141号|収集してよい範囲と禁止3分類

職業安定法第5条の5第1項は、公共職業安定所・職業紹介事業者に加えて、採用する企業自身である「求人者」や「労働者の募集を行う者」も規制の対象とし、求職者等の個人情報を「その業務の目的の達成に必要な範囲内で」収集・保管・使用しなければならないと定めています(本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く)。

なお、法改正により旧第5条の4から条番号が移動している点にも注意しましょう。

あわせて、平成11年労働省告示第141号は、①人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、②思想及び信条、③労働組合への加入状況、の3分類を原則として収集してはならないと定めています(第五の一(二))。

例外は「特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合」に限られており、本人の同意さえあれば収集してよいという趣旨ではない点に注意が必要です。

実務上は、これら3分類を質問項目から外す設計にしておくのが無難だといえるでしょう。

リファレンスチェックに関わる法律は3層構造で整理できます。

どの局面でどの法律が効いてくるかは次のとおりです。

法律 主に効いてくる局面 押さえておきたい条文
個人情報保護法 候補者情報の取得・利用・第三者提供・保管(選考の全期間) 第17条(利用目的の特定)/第18条(目的外利用の禁止)/第20条(適正な取得・要配慮個人情報)/第21条(利用目的の通知・公表)/第27条(第三者提供の制限)/第23〜25条(安全管理措置・従業者および委託先の監督)
職業安定法 求職者等の個人情報の収集・保管・使用(照会先や質問項目の設計) 第5条の5第1項/平成11年労働省告示第141号 第五
労働契約法 リファレンスチェックの結果を理由とした内定取消 第16条(解雇権濫用法理)

平成11年労働省告示第141号 第五の一(二)が、原則として収集してはならないと定める3分類は次のとおりです(例外は「特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合」に限られます)。

区分 告示が定める事項(原文) リファレンスチェックで避けるべき質問例
イ 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項 出身地・国籍・本籍、家族構成や家庭環境に関する質問
ロ 思想及び信条 支持政党、宗教、人生観・信条に関する質問
ハ 労働組合への加入状況 労働組合への加入歴、組合活動への関与に関する質問

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リファレンスチェックを理由とした内定取消は違法になるか

リファレンスチェックの結果、候補者に懸念点が見つかった場合、内定を取り消せるのかという疑問を持つ担当者は少なくありません。

ここでは判例と法律に基づいて整理します。

本章では、次の2点を解説します。

  • 内定は「始期付解約権留保付労働契約」|大日本印刷事件の判断枠組み
  • 取消が認められうるケース/認められにくいケースと実施タイミング

内定は「始期付解約権留保付労働契約」|大日本印刷事件の判断枠組み

最高裁第二小法廷 昭和54年7月20日判決(大日本印刷事件・民集33巻5号582頁、事件番号 昭和52(オ)94)は、採用内定によって「始期付解約権留保付労働契約」が成立するという考え方を示しました。

内定成立時点ですでに労働契約が成立しているため、取消は解雇に準じて扱われ、労働契約法第16条の解雇権濫用法理の趣旨が及ぶことになります。

この判決は「グルーミー(陰気)な印象」を理由とする内定取消を無効とした事案で、取消が認められるのは「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実」に限られるとされています。

取消が認められうるケース/認められにくいケースと実施タイミング

取消が認められうる例としては、重大な経歴詐称(在籍期間・役職・資格の虚偽)や、重大な懲戒処分の事後判明が挙げられます。

一方、認められにくい例としては、前職同僚の主観的評価のみに基づくもの、面接印象との軽微な相違、同意拒否そのものを理由とする取消などが挙げられます。

判断基準は「内定当時知ることができず、知ることが期待できない事実」であることを踏まえると、内定後の実施では取消のハードルが高くなります。

そのため、実施は内定通知前に完了させるのが原則だといえるでしょう。

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適法にリファレンスチェックを実施する6ステップ

6ステップの全体像は次のとおりです。

  • STEP1〜3:利用目的の明示 → 書面での同意取得 → 質問項目の限定
  • STEP4〜6:推薦者へ同意書を提示 → 安全管理措置 → 保管期間経過後に削除

ここまでの内容を踏まえ、適法にリファレンスチェックを実施するための6ステップを整理します。

STEP1〜3:利用目的の明示 → 書面での同意取得 → 質問項目の限定

まず、採用選考の判断に用いる旨の利用目的を特定し、募集要項やプライバシーポリシーで公表します。

次に、候補者へ照会先・照会項目・保管期間を説明し、書面または電磁的記録で同意を取得します。

同意書には、目的、照会先、質問範囲、保管期間、撤回方法をチェックリスト化して記載しておくとよいでしょう。

そのうえで、採用要件から逆算して検証項目を設計し、職務遂行に関係しない質問は除外します。

あわせて読みたい:採用要件の作り方完全ガイド!MUST/WANT設定と選考基準のブレを防ぐ5ステップ

STEP4〜6:推薦者へ同意書を提示 → 安全管理措置 → 保管期間経過後に削除

推薦者へ依頼する際は本人の同意書を添付し、回答が任意であることや回答内容の利用範囲を明示します。

回答側の法的立場を守る配慮は、結果として得られる情報の質を上げることにもつながります。

取得した回答は閲覧権限を選考関係者に限定し、個人情報保護法の安全管理措置(第23条)・従業者の監督(第24条)に沿って管理しましょう。

保管期間をあらかじめ定め、経過後は速やかに削除・廃棄します。

外部サービスを利用する場合は、委託先の監督(第25条)も忘れずに行う必要があります。

法令リスクを抑えた採用オペレーションは採用代行で仕組み化できる

ここまで解説してきた同意取得や質問設計、情報管理を、日々の採用実務の中で正しく運用し続けるにはどうすればよいのでしょうか。

本章では、次の2点を解説します。

  • 同意取得・質問設計・情報管理を「型」にして属人化を防ぐ
  • 法令遵守と質の高い見極めを両立する「CASTER BIZ recruiting」の選考支援

同意取得・質問設計・情報管理を「型」にして属人化を防ぐ

違法リスクの多くは、担当者ごとに運用がばらつくことから生まれます。

例えばnote株式会社様では、採用実務に追われて重要業務が停滞する課題に対し、スカウトや選考初期対応などの実務を外注して運用を標準化させることで、HRリーダーが戦略業務や面接に専念できる体制を構築しました。

同意書管理や選考フローを外部のプロへ委任することで、現場の属人化を防ぎ、法令遵守を徹底した運用体制を構築できます。

・参照事例: note株式会社様|採用代行の事例

あわせて読みたい:採用代行(RPO)は違法?業務委託で活用する際の注意点を徹底解説

法令遵守と質の高い見極めを両立する「CASTER BIZ recruiting」の選考支援

個人情報保護法や職業安定法を遵守した適法なリファレンスチェック・選考フローの設計や運用は、社内ノウハウや人的リソースが不足する企業にとって大きな負担となります。

「CASTER BIZ recruiting」は累計800社以上の支援実績を持つ伴走型RPOサービスであり、法的なリスクを回避した選考プロセスの設計から日程調整・実務運用までをトータルで代行します。

導入事例として、少数精鋭組織で一人人事によるリソース不足を抱えていたミクステンド株式会社様では、同意取得や選考オペレーションを含む採用実務を全面的に開放(代行委託)することで、人事が候補者の「面接・見極め」に100%集中できる環境を構築しました。

・参照事例: ミクステンド株式会社様|採用代行の事例

また、面談調整などの実務負担によりアトラクトに専念できないという課題を抱えていた株式会社タイミー様では、スカウトや日程調整を外注して候補者との対話に集中した結果、内定承諾率100%を達成しています。

複雑な法令・選考オペレーションの遵守や管理をプロチームへ外注することで、人事が「見極め」と「対話」に注力できる体制を構築できる点が、こうしたサービスの有効性だといえるでしょう。

料金は初期費用0円の月額制で、稼働時間に応じた複数のプランが用意されています。

金額やプラン内容は変更される場合があるため、最新の内容は公式サイトの料金プランページでご確認ください。

あわせて読みたい:CASTER BIZ recruiting サービスについて

あわせて読みたい:CASTER BIZ recruiting 料金プラン

まとめ:リファレンスチェックは「同意・範囲・管理」で違法リスクを避けられる

リファレンスチェックそのものは違法ではありませんが、本人同意の取得、職業安定法第5条の5と平成11年労働省告示第141号が定める収集範囲の遵守、個人情報保護法に沿った安全管理・削除という3点を外すと、違法リスクが生じます。

内定取消は大日本印刷事件の判断枠組みと労働契約法第16条の趣旨により厳格に判断されるため、実施は内定前に完了させるのが原則です。

グレーな論点については、弁護士など専門家への確認をおすすめします。

同意取得から情報管理までを含む選考オペレーションを仕組み化し、社内リソースを「見極め」に集中させたい場合は、累計800社以上の支援実績を持つ「CASTER BIZ recruiting」の活用が有効です。

例えば株式会社才流様では、選考・スカウト運用の標準化により面談数を月5〜6件から20件以上(4倍)に拡大させた実績があります。

法令遵守と見極めの質向上に向け、月額制サービスの導入をご検討ください。

・参照事例: 株式会社才流様|採用代行の事例

適法な選考フローの設計から日程調整・実務運用までを相談したい方は、サービス紹介ページをご覧ください。

CASTER BIZ recruiting サービスについて