公開日 2026.08.19 更新日 2026.08.19

AI人材はいらない?と言われる理由と必要な企業の特徴・採用のポイントを解説

「AI人材はいらない」——こうした声を耳にして、採用の是非に迷っている経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

生成AIやノーコードツールの普及により、専門人材がいなくてもAIを活用できる場面が増えたことは事実です。

しかし経済産業省の調査では、2030年に最大12.4万人ものAI人材が不足すると試算されています。

本記事では「いらない」と言われる背景を整理したうえで、需要の実態と、自社にAI人材が必要かどうかを見極めるポイントを解説します。

目次

「AI人材はいらない」と言われる4つの理由

「AI人材はいらない」という意見の背景には、主に次の4つの理由があります。

ツールの進化による専門性の相対的な低下、費用対効果の見えにくさ、高額な人件費に見合う活躍の場を用意できないこと、そして外部委託やSaaSでの代替が可能になったことです。

それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。

1.生成AI・AutoMLなどツールの進化で専門家が不要に見える

ChatGPTやCopilotといった生成AI、AutoML(自動機械学習)、ノーコードのAI開発基盤が急速に普及したことで、専門的なプログラミング知識がなくてもAIを業務に取り入れられる場面が増えました。

これまではデータサイエンティストやAIエンジニアでなければ難しかった予測モデルの構築や文章生成といった作業が、既存のツールを操作するだけで一定水準まで実現できるようになっています。

こうした手軽なツールの登場によって「わざわざ高額な専門人材を雇わなくても十分ではないか」という不要論が広がっている背景があります。

2.AI導入の費用対効果が見えにくい

AI活用によってどの程度の業務効率化やコスト削減につながるのか、導入前の段階で定量的に把握するのは容易ではありません。

特に自社のデータ整備が進んでいない企業では、AI人材を採用しても、そのデータを活用できる基盤自体が整っていないため、具体的な成果に結びつくまでに長い時間がかかることがあります。

投資対効果が見えにくい状態のままでは、経営層にとってAI人材の必要性を実感しにくく、「本当に専任の人材が必要なのか」という疑問が生まれやすくなるのです。

3.高額な人件費に見合う活躍の場を用意できない

AI人材の年収相場は一般的なIT人材と比較しても高い水準にあり、専門性の高いデータサイエンティストやAIエンジニアでは、700万円から1,000万円を超える提示額になるケースも珍しくありません。

しかし、活用するデータの整備状況や解決すべき業務課題が明確でない企業では、せっかく高い費用を払って採用しても、本来の実力を発揮できる場を十分に用意できず、いわゆる宝の持ち腐れになってしまうことがあります。

役割設計や業務環境が整わないままの採用は、企業側にとっても人材側にとっても不幸なミスマッチを生みやすく、このズレが「高い費用を払ってまで必要なのか」という声につながっているのです。

4.外部委託・既存ツールで代替できるケースが増えた

AI開発会社への外部委託や、月額数万円程度で利用できる生成AI・SaaSツールの選択肢が広がったことで、必ずしも自社でAI人材を正社員として雇用しなくても、業務を遂行できるケースが増えています。

プロジェクト単位でのスポット委託や、副業・業務委託人材の活用といった柔軟な調達手段が確立されたことも、専任のAI人材を自社で常時抱える必然性を薄めている要因のひとつです。

実際はどうか?データで見るAI人材の需要

ここまで「いらない」と言われる理由を見てきましたが、実際のデータはどうなっているのでしょうか。

経済産業省や総務省、企業調査のデータを見る限り、AI人材の需給ギャップはむしろ拡大傾向にあり、市場価値も上昇を続けているのが実態です。

経済産業省の試算では2030年に最大約12.4万人が不足

経済産業省の調査によれば、AI需要が高位で推移した場合、2030年には先端IT・AI人材が最大で約12.4万人不足すると試算されています。

IT人材全体で見ても数十万人規模の不足が見込まれており、「AI人材はいらない」どころか、需要と供給のギャップは今後さらに拡大していく見通しです。

総務省の情報通信白書でも、国内のAIシステム市場規模は2023年の約6,858億円から2028年には2.5兆円規模まで拡大すると予測されており、市場の急拡大に人材の供給が追いついていない構図が浮き彫りになっています。

生成AI活用の課題は「人材・ノウハウ不足」が最多

企業を対象にした調査では、生成AIを活用するうえでの課題として「活用できる人材やノウハウの不足」を挙げる企業が最も多く、4割を超えるという結果が出ています。

IPAのDX白書でも、国内企業の約8割が推進人材の「質的な不足」を感じていると回答しており、ツール自体は普及しても、それを自社の業務課題に適切に落とし込み、成果につなげられる人材が圧倒的に不足している実態がうかがえます。

つまり課題は「ツールの有無」ではなく、「使いこなせる人材の有無」に移っているのです。

ツールを導入すること自体はハードルが下がった一方で、それを業務プロセスに組み込み運用し続けられる人材の確保が、企業にとって新たな課題になっています。

AI人材の市場価値・年収は上昇傾向にある

需給ギャップを背景に、AI人材の年収は上昇を続けています。

データサイエンティストやAIエンジニアの求人では、経験やスキルに応じて高水準の年収が提示されるケースが増えており、市場はAI人材を「不要」とは正反対に評価しています。

JEITAの調査でも、生成AI関連市場は2030年に1.8兆円規模、年平均47.2%という高い成長率で拡大すると見込まれており、それに伴い人材需要と処遇水準もあわせて押し上げられています。

人件費の高さは「いらない」根拠ではなく、むしろ需要の高さを裏付ける指標と捉えるべきでしょう。

「いらない」のではなく「求められるスキルが変わった」

かつてはゼロから数理モデルを研究開発できる高度な専門家が中心的に求められていましたが、現在はRAGやAIエージェント開発、既存ツールを業務に適用する実践的な活用推進力を持つ人材へと、求められる役割そのものが変化しています。

世界経済フォーラムの調査でも、今後数年間で世界全体において約8,300万の職が消滅する一方、約6,900万の職が新たに創出されると予測されています。

つまり「AI人材そのものがいらなくなった」のではなく、「研究開発型の人材から、現場でAIを使いこなす実務型の人材へと需要がシフトした」と捉えるのが実態に近いといえます。

AI人材がいらないケースと代替手段

すべての企業に専任のAI人材が必要というわけではありません。

企業の状況や目的によっては、AI人材を採用せずとも目的を達成できるケースもあります。

ここでは「いらない」と判断できるケースと、その具体的な代替手段を整理します。

いらないケース1:既存のAIツール・SaaSで目的を達成できる

議事録の自動作成や問い合わせ対応の効率化、定型的なレポート作成の自動化など、目的が明確で汎用性の高い業務であれば、既存の生成AIツールやSaaSを導入するだけで十分に効果を得られる場合があります。

こうしたケースでは専任のAI人材を採用しなくても、担当者がツールの使い方を覚えれば業務効率化は実現できるため、無理に専門人材を確保する必要はないでしょう。

まずは自社の業務が汎用ツールの範囲内で解決できるかどうかを見極めることが重要です。

いらないケース2:AI活用の目的・データ基盤が定まっていない

AIで何を実現したいのかという目的や、活用する社内データの整備そのものが進んでいない段階で人材を採用しても、活躍の場を用意できず宝の持ち腐れになりがちです。

この段階でまず取り組むべきは採用ではなく、自社の課題整理とデータ基盤の構築です。

土台が整っていない状態での採用は、費用対効果の面でも見合わないケースが多いため、いったん採用を保留し、社内の準備を優先する判断も選択肢のひとつになります。

代替手段1:生成AI・ノーコードAIツールの活用

月額数万円台で利用できる生成AIツールやノーコードのAI開発基盤を活用すれば、専門人材が担っていた業務の一部を代替できる場合があります。

文章生成やデータ分析の初期段階など、定型的な業務であればツールの活用だけで十分な成果を得られることも多く、まずは低コストで試せる手段として検討する価値があります。

ツールの導入から数週間程度で効果測定ができる点も、経営判断がしやすいメリットといえるでしょう。

代替手段2:AI開発会社・外部人材への委託

自社に知見が蓄積されていない段階では、AI開発会社への外部委託や、副業・業務委託人材の活用も有効な選択肢です。

まずは外部の専門知見を取り込みながらプロジェクトを進め、ノウハウが社内に蓄積された段階で内製化を検討するという進め方であれば、初期投資を抑えつつAI活用を軌道に乗せることができます。

委託先の選定にあたっては、自社の業界特性を理解した実績のある会社を選ぶことが成功の鍵となります。

代替手段3:既存社員の育成・リスキリング

自社の業務を深く理解している既存社員に対してAIスキルを教育するリスキリングも、有効な代替手段のひとつです。

外部からの採用と比較して、業務知識をゼロから教える必要がない分、費用対効果が高くなる場合があります。

特にAI人材の採用競争が激しい今、外部採用に頼らず内部育成でAI活用を推進する動きは、多くの企業で現実的な選択肢として注目されています。

少人数からでも段階的にAI活用の担い手を育てていく取り組みが、中小企業を中心に広がりつつあります。

AI人材が必要な企業の特徴と採用を成功させるポイント

一方で、AI活用を自社の競争力に直結させたい企業にとっては、専任のAI人材は欠かせない存在です。

ここでは、AI人材が本当に必要な企業の特徴と、採用を成功させるためのポイントを解説します。

AI人材が必要なのは「AIを競争力の源泉にしたい企業」

自社独自のデータを活用したプロダクト開発や、継続的なAI活用推進によって他社との差別化を図りたい企業にとっては、専任のAI人材が不可欠です。

単発のツール導入で完結する業務ではなく、中長期的にAIを事業の核として育てていきたい企業ほど、内製の知見を蓄積できる人材の存在が競争優位性に直結します。

外部委託だけに頼っていると、ノウハウが社内に残らず、変化の速いAI技術のトレンドに追随し続けることも難しくなるため、中長期的な視点では内部人材の確保が重要になります。

採用要件を明確にする(職種タイプ・スキルレベル)

AI人材と一括りにいっても、モデル開発を担う研究開発系、データ分析を担う分析系、AI活用の企画推進を担う企画系など、役割は多岐にわたります。

自社にとって本当に必要なのはどのタイプの人材なのか、また求めるスキルレベルはどの程度なのかを明確にし、過剰な要件設定を避けることが、採用のミスマッチを防ぎ、成功確率を高める前提条件になります。

要件が曖昧なまま採用活動を進めると、書類選考や面接の基準がぶれてしまい、結果的に採用までの期間が長引く原因にもなります。

現場のエンジニアや実際にAIを活用する部署の担当者を交えて要件を擦り合わせることも有効です。

ダイレクトリクルーティングなど「攻め」の手法で探す

AI人材は転職市場において引く手あまたであり、求人を掲載して応募を待つだけの「待ち」の採用手法では、優秀な人材との接点を持つこと自体が難しくなっています。

転職潜在層に対してスカウトで直接アプローチするダイレクトリクルーティングなど、企業側から積極的に動く「攻め」の採用手法が、AI人材の採用と相性が良いといえます。

特に転職市場に出てくる前の優秀な人材にいち早くアプローチできる点は、競争の激しいAI人材採用において大きなアドバンテージになります。

報酬以外の魅力(データ・裁量・技術環境)を言語化する

年収の水準だけで大手企業と競おうとすると、資金力に劣る企業は不利になりがちです。

自社が保有する独自データの魅力、裁量権の大きさ、扱える技術環境の先進性など、報酬以外の訴求ポイントを明確に言語化することが、AI人材から選ばれる企業になるために重要です。

「どのような課題に、どれだけ裁量を持って取り組めるか」を具体的に伝えられる企業ほど、優秀な人材の関心を引きやすい傾向があります。

採用代行(RPO)で採用体制を補強する

専門性が高く、母集団形成やスカウト運用にも工数がかかるAI・エンジニア採用の実務を、自社の人事担当者だけで回すのは容易ではありません。

こうした場合、採用のプロに実務を任せる採用代行(RPO)の活用は、有効な選択肢のひとつです。

採用ノウハウを持つ専門チームに任せることで、限られた人事リソースでも継続的な採用活動を実現でき、他の人事業務と並行してAI人材の採用を進めることができます。

AI人材の採用に採用代行(RPO)を活用するメリット

変化の激しいAI人材採用市場では、社内の採用担当者だけで最新の採用トレンドやスカウト運用のノウハウを追い続けるのは負担が大きく、採用活動が後回しになってしまう企業も少なくありません。

だからこそ、AI・エンジニア採用に精通した外部のプロ知見を活用する必然性が高まっています。

専門性の高いAI・エンジニア採用の実務をプロに任せられる

AI人材やエンジニアの採用では、母集団形成の段階からスカウト文面の設計、候補者との面談設定まで、専門的なノウハウが求められます。

エンジニア採用の実績を持つ専門チームであれば、候補者のスキルセットを見極めたうえで、どの層にどのようなアプローチが響くのかを踏まえたスカウト運用が可能です。

自社の人事担当者だけで対応するよりも、母集団形成のスピードと質を両立させやすくなり、結果として採用までの期間短縮にもつながります。

必要な期間だけ利用でき、採用コストを最適化できる

AI人材は獲得競争が激しく、専任の人事担当者を新たに雇用するにはハードルが高いのが実情です。

採用代行であれば、採用ニーズに応じて必要な期間だけ利用でき、専任人事を採用するよりも人件費を抑えながら採用体制を維持できます。

採用が落ち着いた時期には利用を縮小できる柔軟性も、繁閑の差が大きいAI人材採用において、コストパフォーマンスの高い「止まらない採用体制」を実現するうえで大きな価値になります。

CASTER BIZ recruitingの採用支援

CASTER BIZ recruitingは、エンジニアやAI人材の採用支援を数多く手がけてきた採用代行サービスです。

ダイレクトリクルーティングの運用代行を中心に、母集団形成から選考プロセスの構築まで一貫して支援しており、専任人事を置かずに採用を成功させた企業の実績も蓄積されています。

「指示をする・される」関係ではなく、相談したくなるパートナーとして採用課題に向き合う姿勢が、多くの企業から評価されています。

単なるアウトソーサーとしてではなく、一つひとつの対応に向き合う伴走型の支援体制も特長のひとつです。

まとめ:「AI人材はいらない」かどうかは自社のAI活用戦略次第

「AI人材はいらない」という声は、生成AIツールの普及や高額な人件費といった背景から生まれていますが、経済産業省や総務省の試算、企業調査のデータを見る限り、AI人材の需給ギャップは今も拡大を続けています。

既存ツールの活用や外部委託で足りる企業もあれば、AIを競争力の源泉として位置づけ、専任人材の採用が不可欠な企業もあります。

大切なのは「いらない」かどうかを一般論で判断するのではなく、自社のAI活用戦略に照らして必要性を見極めることです。

採用が必要と判断した場合は、要件の明確化や攻めの採用手法に加えて、採用代行(RPO)の活用も選択肢に入れながら、自社に合った採用体制を無理なく構築していきましょう。