新卒採用を減らす企業が増える背景とは?メリット・リスクと判断基準を解説

「業績やAI活用を踏まえて新卒採用を減らすべきか迷っている」
「新卒採用を減らした場合のリスクが分からない」
——このような悩みを抱える経営者・採用担当者は少なくありません。
長らく続いた売り手市場に一服感が見られる一方、AIによる省人化や即戦力志向の高まりを受けて、大手企業を中心に新卒採用の縮小・見直しが相次いでいます。
こうした動きは景気の一時的な変化にとどまらず、企業の採用戦略そのものが構造的に転換しつつあることを示しています。
本記事では、新卒採用を減らす企業が増えている背景、削減によるメリット・リスク、そして自社が採用数を見直すべきかを判断するための基準や代替戦略までをわかりやすく解説します。
目次
新卒採用を減らす企業が増えている【最新動向】
まずは、新卒採用の縮小をめぐる最新の調査結果と、大手企業の具体的な動きを見ていきましょう。
共同通信社のアンケート結果に見られる「減らす」企業の増加という全体傾向に加え、SBIやクボタ、富士通といった大手企業各社が実際にどのような方針を打ち出しているのか、さらには新卒一括採用という慣行そのものを見直す動きが広がっている実態まで、順を追って整理します。
新卒採用を「減らす」企業が23%と5年ぶりに「増やす」を上回る
共同通信社が主要企業111社を対象に実施したアンケートによると、2027年度入社の新卒採用を「減らす」と回答した企業は23%にのぼり、「増やす」と回答した16%を5年ぶりに上回りました。
「前年度並み」は35%、「未定」は22%となっており、長く続いた積極採用の流れに踊り場が訪れていることがうかがえます。
減らす理由として最も多く挙げられたのは「デジタル対応を通じた省人化」であり、人手不足感の一服とAI活用の広がりが同時に進んでいることが背景にあると考えられます。
中東情勢をはじめとする経済の先行き不透明感も、企業の採用計画を慎重にさせる一因になっているとみられます。
大手企業で相次ぐ新卒採用の縮小・見直し
実際に、SBIグループやENEOS、クボタ、大和ハウス工業など、大手企業各社が2027年卒採用の縮小方針を相次いで表明しています。
中でもクボタは、大卒・院卒採用を前年の240人から60人へと75%削減する方針を打ち出し、大きな注目を集めました。
また、富士通のように新卒一括採用そのものを廃止し、通年でのジョブ型採用へ移行する企業も現れています。
長年続いた「大量採用」路線から、必要な人材を必要な分だけ確保する方向へと、大手企業の採用戦略が転換しつつあることがわかります。
新卒一括採用そのものを見直す動きも拡大
採用人数を減らすだけでなく、「毎年4月に一括で採用する」という従来の慣行そのものを見直す企業も増えています。
通年採用やジョブ型採用への移行が進むことで、時期を問わず必要なタイミングで必要なスキルを持つ人材を確保する体制へとシフトしているのです。
新卒であっても入社時期を柔軟にすることで、既卒者や留学経験者など、これまで一括採用のスケジュールに合わせづらかった層にも門戸を広げやすくなります。
この流れは新卒採用の総量を抑えるだけでなく、採用のあり方そのものを再設計する動きとして捉える必要があります。
企業が新卒採用を減らす4つの背景

なぜ今、多くの企業が新卒採用の縮小に踏み切っているのでしょうか。
表面的な景気動向だけでなく、複数の構造変化が重なっていることが背景にあります。
AI・デジタル化による業務の省人化、業績・経済環境の先行き不透明感、若手の早期離職と育成コストの増大、そして即戦力・キャリア採用へのシフトという4つの要因が、それぞれ絡み合いながら企業の採用判断に影響を与えています。
1.AI・デジタル化による業務の省人化
前述の調査で、採用数を減らす理由として最も多く挙げられたのが「デジタル対応を通じた省人化」です。
生成AIをはじめとするデジタルツールの活用が進む企業ほど、採用人数を絞る傾向にあるとの調査結果もあり、AI活用を積極的に推進する企業の約6割が採用人数を削減したというデータも報告されています。
これまで若手社員が担ってきた資料作成やデータ入力、問い合わせ対応といった定型業務がAIによって代替されつつあり、同じ業務量をより少ない人数でこなせるようになってきていることが、新卒採用抑制の大きな要因となっています。
今後もAI活用が広がるにつれ、若手が担う業務の内容そのものが変化していくと考えられます。
2.業績・経済環境の先行き不透明感
経済の先行きが見通しにくい状況が続く中、固定費となる正社員の増員には慎重な姿勢を取る企業が増えています。
中東情勢をはじめとする国際的な不透明感も、企業の投資判断に影響を与えていると考えられます。
また、これまで深刻だった人手不足感にもやや一服感が出てきており、無理に大量採用を続けるよりも、必要な人数を見極めて計画的に採用する方向へ舵を切る企業が増加しています。
採用計画を立てる際にも、景気変動リスクをあらかじめ織り込んで、柔軟に調整できる体制を志向する動きが広がっています。
3.若手の早期離職と育成コストの増大
新卒社員の3年以内離職率は3割を超える水準で推移しています。
時間とコストをかけて育成しても短期間で離職されてしまうケースが後を絶たず、新卒採用への投資対効果そのものが見直されつつあります。
採用から育成までにかかる費用や工数を考えると、離職リスクの高い大量採用よりも、定着しやすい少数精鋭の採用や、中途採用による即戦力確保を優先する企業が増えているのです。
特に育成の中心を担う現場のマネージャー層にとっても、離職を前提とした大量採用は負担が大きく、採用数を見直す動機の一つになっています。
4.即戦力・キャリア採用へのシフト
5年後には新卒採用とキャリア採用の比率が半々になるとの調査結果も出ています。
ジョブ型雇用の広がりとともに、企業が求めるスキルを持つ人材をピンポイントで確保できるキャリア採用への注目が高まっているのです。
育成に時間がかかる新卒採用よりも、すぐに成果を出せる即戦力人材へ予算や採用枠を振り向ける動きが、今後さらに強まっていくと考えられます。
特に専門性の高い職種ほどこの傾向は顕著で、新卒一括採用というモデル自体の位置づけが相対的に変わりつつあります。
新卒採用を減らすメリットとリスク

新卒採用を減らすことには、短期的なメリットがある一方で、見過ごせないリスクも存在します。
採用・育成コストの削減や、即戦力採用・既存社員への投資に資源を集中できる点はメリットといえますが、その裏側では年齢構成の偏りによる将来の管理職不足、組織文化の継承や活性化の停滞、そして採用ノウハウ・学生接点の喪失といったリスクも生じます。
両面を整理して確認しておきましょう。
メリット1.採用・育成コストを削減できる
新卒採用には一人当たり平均90万円を超えるコストがかかるとされています。
採用人数を絞ることで、この採用コストに加え、入社後の研修や教育にかかる育成コストも圧縮でき、短期的な収益改善につながります。
特に業績の見通しが立ちにくい局面では、固定費の増加を抑えられる点が経営判断として大きなメリットとなります。
浮いた予算を既存事業の強化や設備投資に振り向けられる点も見逃せません。
メリット2.即戦力採用や既存社員への投資に資源を集中できる
新卒採用の枠を絞ることで、浮いた予算や工数を中途採用、既存社員のリスキリング、処遇改善といった、より即効性の高い人材投資に振り向けることができます。
育成に数年単位の時間がかかる新卒採用に比べ、これらの施策はより短期間で事業への貢献が見込めるため、限られた経営資源を効率的に配分したい企業にとっては合理的な選択となり得ます。
人事担当者の稼働時間そのものも、大量の母集団対応から個々の人材の見極めや育成計画の設計へと再配分しやすくなります。
リスク1.年齢構成が偏り将来の管理職・リーダーが不足する
特定の年度に新卒採用を大きく絞ると、その世代が10年後に中堅層となる頃、社内の年齢構成に偏りが生じます。
結果として管理職候補やリーダー人材の不足を招き、次世代の技能承継が断絶してしまう恐れがあります。
目先のコスト削減が、将来の組織運営における深刻な人材不足として表面化するリスクがある点は、見過ごせない重要な論点です。
一度生じた年齢構成の空白は、中途採用だけで簡単に埋め合わせられるものではありません。
リスク2.組織文化の継承や組織の活性化が停滞する
新人の存在は、既存社員の指導経験や成長機会につながるだけでなく、組織全体の新陳代謝にも寄与しています。
新卒が入らない期間が続くと、組織文化の継承が難しくなるだけでなく、社内の雰囲気や活力そのものが停滞してしまう可能性があります。
若手ならではの新しい視点や柔軟な発想が入りにくくなることで、既存のやり方や価値観が固定化しやすくなる点も懸念材料です。
数字には表れにくいものの、組織の健全性という観点からも軽視できないリスクだといえます。
リスク3.採用ノウハウ・学生接点が失われ、再開時に苦戦する
新卒採用を一定期間止めてしまうと、学校推薦のつながりや学生との接点、選考ノウハウといった採用活動を支える資産が失われていきます。
いざ採用を再開しようとしても、これらを一から築き直す必要があり、以前と同じ水準の採用競争力を取り戻すまでに想定以上の時間がかかるケースが少なくありません。
採用担当者の実務経験やノウハウも属人化しやすく、担当者が異動・退職してしまうと再開のハードルはさらに高くなります。
採用停止は、再開のハードルを高めてしまう側面も持っています。
新卒採用を減らすべきか?判断基準と代替戦略
新卒採用を減らすかどうかを判断する際は、目先の損益だけでなく中長期的な視点が欠かせません。
中長期の人員構成・事業計画と整合しているか、そして目先のコスト削減だけを理由にしていないかという2つの判断基準に加え、中途採用・通年採用との組み合わせ、ダイレクトリクルーティングによる厳選採用、外部リソースの活用といった、採用を減らす場合に検討したい代替戦略についても解説します。
判断基準1.中長期の人員構成・事業計画と整合しているか
新卒採用数は、単年度の損益だけを見て決めるべきものではありません。
5年後、10年後の年齢構成や管理職候補の充足度、技能承継の見通しまで踏まえたうえで、中長期の事業計画と整合した採用数を設計することが重要です。
目先の数字だけにとらわれず、自社の将来像から逆算して採用計画を立てる視点を持つ必要があります。
経営層と人事部門が、単年度の予算議論とは切り離して採用数を話し合う機会を設けることも有効です。
判断基準2.目先のコスト削減だけを理由にしていないか
コスト削減のみを理由にした採用抑制は、将来の組織力低下という形で後々のツケとして表面化しかねません。
新卒採用を減らすこと自体が目的化してしまわないよう、「削減」ではなく「最適化」という視点を持つことが大切です。
自社にとって本当に必要な採用人数・採用手法は何かを、コスト以外の観点も含めて総合的に判断することが求められます。
短期的な数字だけで意思決定してしまうと、後になって取り返しのつかない組織課題を抱えることにもなりかねません。
代替戦略1.中途採用・通年採用と組み合わせる
新卒採用のみに依存するのではなく、中途採用や通年採用を組み合わせることで、必要なタイミングで必要な人材を柔軟に確保できる体制を築けます。
新卒の採用時期を待たずに、事業の変化に応じてスキルを持つ人材を随時補充できる点は、不確実性の高い経営環境において大きな強みとなります。
複数の採用手法を併用することで、特定の手法がうまくいかない年があっても、全体としての採用力を維持しやすくなる利点もあります。
代替戦略2.ダイレクトリクルーティングで少数精鋭の厳選採用に切り替える
採用人数を絞る場合には、自社が求める人物像に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングへの切り替えが有効です。
母集団の広さを追う「量」の採用から、自社にマッチする学生を厳選してアプローチする「質」の採用へと転換することで、少ない採用枠でも成果を最大化しやすくなります。
求める人物像を明確に定義したうえでスカウトを送ることで、選考通過率や入社後のマッチ度を高められる点もメリットです。
代替戦略3.採用体制を見直し外部リソースを活用する
採用規模の縮小に合わせて、社内の採用体制もスリム化していくことが望まれます。
ただし、採用担当者を減らしすぎると、繁忙期や急な採用ニーズへの対応が難しくなる恐れがあります。
そこで、普段は最小限の体制を維持しつつ、必要な時期だけ採用代行(RPO)などの外部リソースを活用し、業務量の波に柔軟に対応できる体制を整えることが有効な選択肢となります。
実際にミクステンド株式会社では、一人人事の少数精鋭組織において採用実務を全開放(委託)したことで、人事が面接や人物の見極めに100%集中できる体制を構築しています。
社内に採用の専門知識を蓄積しながら、繁閑差の激しい実務は外部に任せるという役割分担も検討に値します。
・参照事例: https://recruiting.cast-er.com/case/mixtend/
「量から質」の新卒採用には採用代行(RPO)の活用が有効
採用人数を絞り込む「厳選採用」への転換は、社内のリソースだけで進めようとすると難易度が高くなりがちです。
要件定義や体制づくりを誤ると、かえって採用が停滞してしまうこともあります。
ここでは、採用代行(RPO)を活用することで、少数精鋭の見極めを支援してもらえること、採用規模の変動に合わせて体制を柔軟に増減できることを中心に、CASTER BIZ recruitingの採用支援の特長を解説します。
少数精鋭の採用に必要な戦略設計・見極めを支援してもらえる
採用人数を絞るほど、一人当たりの見極めの精度がより重要になります。
しかし、量から質への転換を進める企業では、「すべての要件を満たす完璧な人材」を求めすぎるあまり、結果的に誰も採用できなくなってしまう失敗も少なくありません。
CASTER BIZ recruitingでは、専門チームが現場を巻き込みながらMUST要件とWANT要件を適切に整理し、自社が本当に必要としている「少数精鋭」の人物像を明確にしたうえで選考を設計します。
理想を追い求めるあまり選考基準が曖昧になっているケースを可視化し、優先順位を整理する支援も行っています。
累計800社以上を支援してきた知見をもとに、厳選採用でも確実に成果につなげられる体制づくりを支援できる点が強みです。
例えば、新卒・若手採用における工数逼迫が課題だった株式会社インフォバーングループ様では、スカウト運用や日程調整を完全代行することで人事・経営陣が候補者対話に専念できる環境を整え、新卒採用の成果創出を実現しています。
・参照事例: https://recruiting.cast-er.com/case/infobahngroup/
採用規模の変動に合わせて体制を柔軟に増減できる
正社員の採用担当を新たに増やすことなく、必要な期間だけ外部の専門チームを活用できる点もRPOの利点です。
特に新卒採用の縮小や見直しを検討するような不確実性の高い局面では、社内に専任の採用リソースを抱え込むこと自体が経営上のリスクになりかねません。
CASTER BIZ recruitingを活用すれば、採用の再開や急な計画変更にも即座に対応できる、柔軟で機動力のある採用インフラを持つことができます。
担当者の急な退職や欠勤によって採用活動が止まってしまうリスクを避けられる点も、体制の安定性という観点で大きな安心材料になります。
固定費を抑えながらリスクヘッジできる点は、変化の激しい採用市場において大きな戦略的メリットといえます。
CASTER BIZ recruitingの採用支援
CASTER BIZ recruitingは、採用戦略の設計から実務までを月額制で伴走支援するサービスです。
実際に、株式会社才流ではスカウト運用の標準化によりカジュアル面談数が月5〜6件から20件以上(4倍)に急増した事例や、株式会社タイミーではスカウト・日程調整の外注により候補者との対話に集中し、内定承諾率100%を達成した事例など、確かな成果が報告されています。
「指示をする・される」関係ではなく、戦略の壁打ち相手として一緒に採用課題に向き合ってくれるパートナーであるという評価も多く、少数精鋭への転換という難しい局面でも安心して任せられるサービスとして支持されています。
・参照事例: https://recruiting.cast-er.com/case/sairu/
新卒採用を減らす判断は「中長期の視点」で慎重に行おう
新卒採用を減らす企業が増えている背景には、AI・デジタル化による省人化、経済環境の不透明感、早期離職リスクの高まり、即戦力志向へのシフトという4つの構造要因があります。
採用・育成コストの削減や即戦力投資への資源集中といったメリットがある一方で、将来の年齢構成の偏りや組織文化の停滞、採用ノウハウの喪失といった中長期的なリスクも軽視できません。
目先のコスト削減だけを理由にするのではなく、5〜10年後の人員構成や事業計画との整合性を踏まえたうえで、「削減」ではなく「最適化」の視点で判断することが重要です。
自社だけでの体制構築が難しい場合は、CASTER BIZ recruitingのような採用代行サービスを活用し、少数精鋭でも成果を出せる採用戦略への転換を進めていくのも有効な選択肢です。



